素材は、硬いステンレス。
加工内容は、ひどく面倒臭い。
手も掛かれば時間もかかり、正直、少なくとも3日は時間が欲しい仕事だ。
哲が、自分の仕事の段取りをずらしてくれて。
他にもある、今日の午前中仕上げの加工を引き受けてくれた。
「哲~」
「ん~?」
「“紫の空”、歌って」
「……………………」
……無視か…。
…まあ、……そうよね。
朝一番で歌えって言うのもね。
でも、駄目とか嫌とか言ってくれないと寂しいじゃないか。
「………まだ…声出ない」
あれ………?
歌ってくれる気が無い訳じゃない…みたいだ?
ちらりと。
視線は私を掠めて。
唇のピアスは、笑みを乗せる。
「とりあえず、それ終わらせたらな」
「頑張る。チョー頑張る!!」
やった!
張り合いゲット!
言ってみるもんだねぇ!

