「……無理ですね」
ああっ…哲!
そんなキッパリと!
確かに無理だけど!
「…そんな事言わないで、やってよ」
「どれだけ急いでもコレだけで4時間かかります。他にしなきゃならない加工もありますから」
仕上がり、15時半ならなんとかします。
と。
淡々と話す哲が気に入らなかったのか、かの人は、ぎゅ、と眉を寄せると私に向き直った。
「俺、これ昼過ぎに納入してこなきゃならないんだよぉ…なんとかならない?」
その、目。
無理を押し通す時の、この人の目が、嫌い。
「蜜さんなら、やってくれるだろ!?」
「むむ…無理です!!…絶対無理。物理的に無理。だってほんとに4時間かかりますもの。今8時半…」
じゃあ12時半に来るから!
ぐい、っと顔を寄せられた事に思わず身を引いて、私は顔も背ける。
口調は、馴れ馴れしいながらに普通でも、やたら尊大な目で、無理を押し付けるこの人は。
年の頃25。
本格的に家業を継ぐのが決まったのか、最近毎日配達に現れては、納期ギリギリの仕事を置いていく。
つーか今私、無理って言ったよね!?

