私は。
“余所見”に思い当たる節があることを、自覚している。

自分が、真ちゃんを好きなこと、自覚している。


ただ。
哲がいる、という大前提がある上での、事。

恋じゃ、ない。


それが、哲に伝わってないのかと思って、ちょっと不安になっただけ、だ。



「…蜜、ちゃんとわかってるよ?」

ちゃんと、わかってる。

ごめんって。
そんな傷ついたような顔、しないで?

な?


と、哲は。
私を下から覗き込んで、笑う。




「…………なら、いい」



ああ、ごめん。
ごめんね、哲。

なんで上から目線なんだ私。



「………私…めんどくせぇね」

「ちょっとね」



ああ!
やっぱり!?


弾かれたように笑い出したエレンさんは、きっと。

あらかたの日本語を“聞く”ことは出来るんだ…と。


そう思った。