「……哲の奴…出やしねぇ」
電話を掛けたかと思えば、相手は哲だったようで。
延々と出ない哲に、苛立った様子を見せた真ちゃんは。
建物の陰から現れた赤い髪に、諦めたように、両手を上げた。
「…やっぱり真也のばぁちゃんか」
哲が支えるように連れていたのは、相当にお年を召した、綺麗な、綺麗な…淡い金髪を結い上げた、小さな、ひと。
「…………ばぁちゃん…どうしたのョ……」
「…そこで、水浸しになってたけど」
真ちゃんは、早口の英語で何かを言うと、覗き込むように、おばあちゃんの袖口を、掴んでうなだれた。
「膝も見てやって。水の上で転んでたから」
「水の上!?」
み…水の上って…!!
あれ、傾斜のついたガラス板の上を水が流れてるだけだよ!?
あれ、天井なんだよ!?
下から見ると、キラキラして綺麗だけど……上からだって下が見えるのに!
乗ったの!?
チョー怖ぇ!
チョー怖ぇよ、おばあちゃん!

