「なんだ、せっかく早く寝てやったのにしなかったのか」
翌朝、少し早めに起きた私達が、コーヒーを三人分淹れて、哲の部屋を覗けば。
真ちゃんはもう、すっきりした顔で、でも上半身裸で、歯を磨いていた。
真ちゃんのお泊まりグッズは、いつでも哲の部屋に、ある。
「別に毎日しねーし」
「勿体無い。年寄りかょ。声くらい聴かせろ」
「死ね」
部屋と部屋を繋ぐドアを、開け放って。
朝から、普通の会話かと錯覚しそうなくらいサラッと、そんなじゃれ合いをした、哲と、真ちゃん。
歯ブラシをすすいで、口もすすいで。
真ちゃんは、いつもの位置に戻さずに、何気なく。
それを、ゴミ箱に放り込んだ。
「……捨てちゃうの?」
「うん?もう限界かと思って」
ふ、と。
脳裏を掠める、不安。
真ちゃんは、ご機嫌な様子で、自分のパイプベッドを畳むと。
裸のまま。
3つ並んだコーヒーの、自分のカップの前に、座った。

