思わず、キョロキョロと辺りを見回す私が、遅れがちになることに苛ついたのか、哲は。
ふいに、手を繋ぐ。
何度か繋ぐようになったけれど、やっぱりちょっと、緊張するし、やっぱりちょっと、怖い気がした。
「…蜜、大丈夫だから」
「だって」
「………俺いるし」
……うっ…
こ…ここは……うん、って安心すべき?
それとも…萌え死ぬべき?
ずっと、ずっと。
部屋の戸締まりすら。
隣に哲がいるから大丈夫、なんて思っていたくせに。
いざこうやって、口に出されると、どうしていいのか解らなくなる。
「蜜、泣いた跡が…すごいけど…狭山工販のせいじゃ、ないよな?」
きゅ、と握られた手に気を取られていた私は、そう訊かれて顔を上げた。
「目、腫れてる」
「………不細工?」
「ちょっと」
うわ、ひでぇ。
思ってても言わなくて良いことじゃないか?

