「ほら、鈴ちゃん泣かないで」
哲は。
私が聞いたこともないような甘い声で、姫様をなだめる。
「大丈夫だよ、蜜も俺も、大したこと無い」
俯いた姫様の頭に手を置いて。
覗き込んで笑う顔は、見たこともないくらい、優しげで。
「…鈴ちゃんのせいなんかじゃない」
な?
だから、泣くな。
ケーキ食え、ケーキ。
鈴ちゃんもチョコレートケーキ、好きだろ?
やや乱暴に、婿姫様の髪をかき混ぜた哲に。
耐えきれなくなったかのように、姫様が、勢い良く飛び付いた。
「うわああああああんっ!!!」
哲ちゃんが悪い!
哲ちゃんが蜜ちゃんひとりで出すから!
哲ちゃんがさっさとあんな奴、追い払わないからあああ!!!
蜜ちゃん殺されちゃったかと思ったよぉぉぉ!!
飛び付かれたまま、あやすように背を撫でる哲は。
うん、そうだね、なんて。
……………私、ヤキモチ妬いていいかな…。

