私は。
殴られて気を失って、救急搬送された割には、落ち着いていたけれど。
怒りが湧かない程に、へこたれていたのも、確かで。
それから。
認めたくはないけれど…。
怖かった、のも、間違いない。
こういう時、ひとはどういう行動に出るのが正しいのか、どんな事を考えるのが正常なのか、わからないけれど。
私は。
哲の足の傷が、なんの支障もなく治る事を聞いて。
だけど生々しい、縫い痕を見て。
どうして、狭山久志は逮捕されてしまったんだろう、と。
震えるほどに、悔しかった。
逮捕されて、守られてしまった狭山久志を、引きずり出して来て。
殺して、しまいたかった。

