哲はあの時。
狭山久志を取り押さえたはいいけれど、あられもない格好で血を吹く私に気を取られて。
足を刺された、ようだった。
彼に、刺すつもりがあったのかどうかは、わからないけれど。
「……せんせ、体中、が痛い」
翌日の、午前中。
ギシギシと鳴るような、全身の痛み。
もちろん、顔は痛いけど、この重たい痛みは、トイレにも立ちにくい。
「さすが、筋肉痛も早く出るねぇ」
耐え難い痛みを訴えたのに、担当医は。
若いって素晴らしいね、なんて。
にこにこと、笑う。
「………うん」
「湿布出しとくね」
「…………うん」
「…何が不満かな?」
「……………いえ…」
なんとなく…。
どことなく、婿様と団長を足して2で割ったような、先生。
…先生…髭、生やすといいと思うんだ…。

