【続】朝の旋律、CHOCOLATE



手足は、普通に動く。

すぐ来てくれた医師は、警察官だという男性を2人、連れていて。


頭は打って、少し切れてはいるけれど、脳にも頭蓋骨にも、損傷はないですよ、と。

穏やかに、話してくれる。


ゆっくり、ゆっくりと。
私を気遣うように、状態を説明した医師は。


すぐ元気になるからね。
口の中の腫れもすぐ引くし、彼の足もすぐ治る。

ちょっと脳震盪起こしたのと……いっぱい血が出たし、息が出来なくて怖かった、んだよね?


明日、もう1度検査して、大丈夫なら帰れるからね、なんて。



穏やかに、穏やかに。
そっと私の額を、撫でた。



私が。

怖いくらい不自然に思い出さなかった、狭山久志、が。


傷害罪、なんていうわかりやすい名目で現行犯逮捕された、と聞いたのも。


なんだか遠い話のような、気がした。