意識を失う、って。
思ったほど苦しいものじゃ、なかった。
ただ。
目が覚めた時に。
あのまま死んでいても、きっと気がつかないままなんだろうと、妙に冷静に、思った、だけ。
あの暗転したような“無”は。
怖くもなければ、死んだら化けて出てやる、とかの“思い”すらなくて。
死ぬ時は、何にも解らないまま消えるだけなんだ、と。
不思議な安堵感に、ぞっとした。
…よ…良かった……
私、目が覚めて……………!!!
私の周りに、人がいる。
見えないけど。
バタバタと。
ガタガタと。
冷たい空気に、消毒薬の匂い。
私の意識が戻った事に気がついたのか、知らない女の人の声が。
倉橋さん? と。
静かに私を、呼んだ。

