【続】朝の旋律、CHOCOLATE



最寄りの駅は。

地上に出るまでに、相当のぼらなきゃならない。

エスカレーターと、ゆるやかなスロープは、結構キツい。


私はひとりで。

出口にある紅茶専門のカフェで待っていてくれるはずの哲を求めて、やや小走りに、急いだ。


だって。

ちょっと…挨拶しようにも、すぐ隠れちゃう、得意先の長男くんだろう人が…、同じ駅に降りたから。


どうして地下鉄って、携帯が圏外になっちゃうんだろう。


気のせいかも知れないけど。

知ってる人なような気がするけど。


いや、知ってる人だからこそ。



挨拶もせずに、隠れてついてきているような様子が、ひどく不気味で。


すっかり酔いも冷めた私は、ひたすらに小走りに。

長いエスカレーターを登った。