「治んのか!?」
「……さ…さぁ」
「ああ!?」
何のために医者行ったんだ!
治るのか治らねぇのか、はっきり口割らせて来い!
「…口割らせて………って…」
そんな…。
シゲちゃん…そんな年寄り…嫌われるよ…?
つーか頭の血管切れちゃうから………落ち着い…
「狭山と哲、ぶっ殺す!!!」
「……………」
もうやだ、このジジイ。
シゲちゃんは、よく怒るし、よく怒鳴るけど。
いつも、私を可愛がってくれているのが、わかる。
今も。
工場に、社長の知り合いの弁護士が来ていて。
哲は、その弁護士と話をしていて迎えに来れないから、と。
本当はお昼休みで、お弁当を食べている頃なのに、わざわざ。
さほど遠くもない距離なのに、迎えに来てくれたんだ。
ほんの僅かな隙に、私が狭山に捕まらないように。

