「あっ…明日には治るかも。風邪薬飲んでみるし!」
味が全然しないの、と改めて言ってみたは良いけれど。
“全然”っていうところが悪かったのか、哲は。
思い切り眉を跳ね上げて。
私の口に、次々と色々な調味料を突っ込んだ。
「もういらないっ……塩分摂りすぎて血圧あがる!」
「…………病院…」
「…か、風邪薬飲むからっ」
「……ちょっとタバスコ…」
「いらないって!」
かすかに、塩の辛さはある。
砂糖の甘さも、ほんのり。
辛味も、少し。
でも、どれを舐めてもみても、苦味と渋味が強い、気がした。
味覚障害ですねぇ。
いくつか検査しますが…何か嫌なことでもありましたか?
なんて、言われたのは。
それからほんの二時間後の、こと。
仕方なく来た診察室で。
医師の後ろに立っていた、看護師は。
“いくつか検査”の指示をメモしていた、学生さん。
……いや…学生くん。

