真ちゃんは、今度は階段の一番下に、座っていた。


お疲れ、と。

ぞんざいだけど、きっとそれで合ってるような声を、哲にかけてから。


「つーか、おっそいんだよ。寒ぃだろ!すぐ帰ってやるから茶ぁ出せ」

なんて笑いながら。
がし、と哲の肩に腕を回した。




「………マジ邪魔。帰れ」


体重を掛けているだろう真ちゃんの腕を、鬱陶しそうに払いのけて、哲は。

それでも唇の端を、上げた。




「………………蜜…お前の男…お前に似てきたんじゃね?」


ったく、心配してる友に、なんつー態度だ、このつがいは。


なんて、ぶつぶつ言う真ちゃんも。



友は友の女、揺らさないのがルール。

なんて、ふてくされたように言う哲も。



どこか、じゃれ合っているように、見える。

そんな会話をしながら、なのに。


真ちゃんは当たり前のように階段を上るし、哲も当たり前のように。

部屋のドアを開けて真ちゃんを、招き入れた。