哲は、わずかに眉間にしわを寄せると。 受話器に掛けた手を、引いた。 「知らないし。切っちゃって」 「……………やだ」 ただのセールスの電話じゃないんだから。 セールスならば、居ません、って…呼ぶまでもなく、切る。 でも、違うじゃん。 これ、無視していい電話じゃ、ないじゃん。 頭の中も。 指先も、体の芯も。 …冷たい。 「蜜」 「…出て」 「蜜!」 「早く出なよ!!」 哲の子だって言ってるもん! ちゃんと聞きなよ!! 私は! ……私は、大丈夫だから。