一緒に、逃げる…?
一緒、に…?
「…哲」
…………私を…好きなの?
「…………は!?」
「ああっ!違っ…ごめ……っごめんなさ…そ…じゃなくて!」
間違えた。
間違えてないけど間違えた。
「そ…そんなに…いっぱい?」
「………何が」
「……だから…私を、ね?」
そんな、一緒に逃げても良いくらい好き…だ、と思っ………て、くれてる…の……カナ~…?
哲は。
私の背と腰とをいっぺんに引き寄せた。
…私の方が、視線が上になってしまったのは何故だろう。
ふ…浮力ってすげぇ…ね?
「見せて」
「…な…にを…?」
「…腕!…どかせっての」
「………………………」
湯船から出ている、不足がちな隠された私の胸。
抵抗できる気が、しなかった。
哲は、私が腕を下ろして視線を逸らすのを…じっと、見ていたような、気がする。
哲は、私を好きだ、と。
そのせいで恨まれるっていうならば、それはそれで本望だ、と言う。
その、声で。
言われている意味が、嬉しいような怖いような、恥ずかしいような。
ようやく、ちらりと目を見れた私と視線を合わせたまま、哲は。
好きだよ蜜、と発音すると。
事もあろうにいきなり、胸の先端をぺろりと舐め上げてそのまま。
口に含んだ。

