ちゃぷん、と。
哲が、私の懇願を丸無視するもんだから。
私は緊張して、恥ずかしくて。
俯い………たら、見える。
…目が合っても恥ずかしい。
どうしたら恥ずかしくないか考えて、狭い中をくるりと後ろを向いたけど。
「………………」
「…なに緊張してんの」
「……………」
「…蜜」
…………よっ…呼ぶな!!
耳元で呼ぶなあああ!
「なに隠してんの」
「………黙れ痴漢」
「…痴漢………」
ちょっとこっち向け、と。
どうしても隠したい胸を覆っていた腕を引かれ、いとも簡単に、逆回転。
浮力ってすげぇ、なんて現実逃避しかけた私に哲は。
「…大丈夫だから」
俺、そんな弱くないよ?
や、特に強い訳でもないけど。
蜜が怖がるほど、どうにもならない訳じゃない。
蜜が…ひとりで立ち向かう気でいるから、怖いだけ。
「万が一、本気でどうにもならなくなったら、一緒に逃げたっていいじゃないか」
と。
胸を頑なに隠す私をなだめるように、耳元に、唇を掠めて。
な?
と、囁いた。

