「…………哲」

「どうした」

「…お菓子入ってる」

「は!?」



駄目だと言われたけれど、もう具合の悪くなかった私は。

おやつの頃に目が覚めて初めて、自分が眠っていた事に気が付いた。


慌てて毛布を畳んで、立ち上がっても、目眩ひとつしなかったから。

心配されつつも、大丈夫だと、少し仕事を、した。


社長の言うように忙しくなかったから。

定時上がり。



社長は、戻って来ていない。



毛布を抱えて、部屋に戻ろうと、階段を上がる前に見た、郵便受けに。





「………オレンジピール?」

「……そういや空き袋…捨てたっけな、蜜の部屋で」


「…………捨てていい?」

「見えるように捨ててやれ」



わからない。
奴のやることが、わからない。



餌付け…か?