あんなに、あんなに。

死ぬかと思ったくらい、息が上がって。
鼓動も速すぎて。

手も足も、唇も、感覚がなかったのに。



哲の唇のピアスは、肌は。

絶対的な安堵感を、私に感じさせた。


……うん……恥ずかしい、というか、情けない、というか。

私にとっての哲の存在は、あんな理不尽なまでの恐怖を霧散させるほど、大きな、もの。



…それは、良いこと?



私、ちょっとびっくりした。
びっくりして、ちょっと落ち込んだ。

こんなに依存してたのか、って。
子供じゃあるまいし、こんなに頼りにしていたら。


…駄目、だよね?
…いい、訳ないよね?


…ああ、まとまらない。




機械の動く、音がする。

哲が、仕事してる。


掛けてくれた毛布は、哲の物。

わざわざ部屋から取って来てくれたもの。



哲の匂いと。
機械油の、匂い。

旋盤の、…回る音。



あったかくて、気持ちいいけれど私…仕事……しなきゃ。