颯爽とどこかに行ってしまった、我が社長。

残された、私と哲と、ニンニク臭。




「…………蜜」

「……」

「…も、絶対、離さないから」


「……は!?」



なに、いきなり!
恥ずか………


「もう絶対、1人にしないから」

「………て…哲…?」



哲は。
ひどく苦しげな顔をして俯くと、ぎゅ、と。

拳を握りしめた。




「…ど…したの?」

「……………めっちゃ反省中」


な…何を!?

ぃや…ややや…!!!
哲、違うよ!!

哲が反省する事なんか、ないもん!


私、解るよ!?
哲が怒った理由!

ちゃんと解るから…だから…!!





「…でも、反省中!」

「ええぇ!?」

「もー…俺、最悪」



ネガティブになった哲は。



蜜が俺を、大事な人形かのようにくるみ込んで遠ざけた気がした事。

火事の中に蜜だけ残って、俺を外に放り投げようとした事が。
もう腹立って腹立って、変なとこで切れちゃった。


と、そう呟くと。



真っ赤な髪に、指を突っ込んで、頭を抱えた。