「…ねぇ、哲」
哲が、怒ってるのがわかる。
テレビもつけずに。
音楽もかけずに。
じっと、私がレモンを刻むのを、見ていた。
何を怒っているのか、わからなくない。
きっと、下着を盗られた事じゃ、ない。
盗っただろう泥棒に対してでも、無いと思う。
もし、私が哲の立場なら。
助けて、と。
そばにいて、と。
どうしたらいい?って。
頼って欲しいと、思うもん。
「今日、一緒に寝ていい?」
私は哲に、余計な心配かけたくない。
だけど、哲がいてくれれば大丈夫、と思うのも、嘘じゃない。
嫌な思いしないまま、私のそばにいてくれるのがいい。
だから。
“当事者”にならずに、離れた位置から私を守って欲しい。
巻き込まれに、来ないで。

