【続】朝の旋律、CHOCOLATE




レモンを、切った。

シンクにごろごろと転がして、よく洗ってから。

縦に、4つ。




「今から作るのか?」

「うん」



何かしていないと、おかしくなりそう。

たかが、下着ドロが出ただけの事で。



そう。

たかが、下着ドロ。
たかだか、2、3枚。

1枚せいぜい800円くらいの事。


必死に、ベランダまで登っただろう誰か。

ご苦労なことだ。


…せめて新しい下着代くらい置いていけばいいのに。




本気でそう思う訳では無いけれど。

そのくらい思わないと、呑まれると思ったから。



哲にすがりついて泣いたって、何にも解決しない。

むしろ、困らせるだけ。




たかだか…たかだか布切れ2、3枚の、こと。






果実を、種ごと土鍋に。
皮は、ワタごと水の中。

強い香りは、弾けるように爽やかで。


最後のひとつを切り終わる頃に私は、ようやく。

深く、深く、息をついた。