私は。
哲に連れられて、一番近くの交番に、行った。
盗られたものは下着だ、と。
ものすごく、ものすごく。
言いたくなかった。
私ひとりなら、絶対にこんな届け、出さない。
黙って、郵便受けに鍵を付けるし、ベランダに洗濯物を出さないようにするだけだと、思う。
この辺りは、セレブ街で。
小さなパトロールカーが、しょっちゅう路地を走っている。
それの強化ルートに、私の部屋のあたりを加えてくれるとかで。
半べその私の、半べそ理由が、間違いなく。
単に、下着を盗られたショックだと思っているだろう、お巡りさんに。
よろしくお願いします、としか、言えなかった。
このパトロールで、万が一。
狭山久志が捕まったら。
………困る…。
知らない人で、ありますように。
狭山久志じゃ、…ありませんように。

