【続】朝の旋律、CHOCOLATE




「どうした?」

「な、んでもない」


まだ真也の車、置いたままだわ、と裏の駐車スペースから戻って来た哲に。


言えなかった。



こんなに心配してくれてるのに、言わないのはどうかと思うけれど。

もしかしたら勘違いかも知れないし…?


もしかしたら私、行き掛けにバッグに入れたかも…知れな……


…………

……お財布と携帯とタオルと楽譜と…



「……」



いやいや、あんなもん誰も盗らないはず。


………うん。





階段を上がって。

お風呂が済んだら、哲の部屋に行こうと思った。


ひとまず、洗濯物を取り込もうと、ベランダの窓を。

開けた。





「………………あれ…?」


……ない、な。
私の………ぱんつ。



「…………」



洗濯物は、ある。

2度目に干した、薄手の洗濯物。

ハンカチや、ブラウスや、ストールや、下着類。



覚えている限りの内容と、何度照らし合わせても。

どうしても、1枚のブラと。
2枚の、ショーツ。


ストールでくるむように干したはずのそれらは。


きれいさっぱり、無くなっていた。