すっかり元の体調に戻った気がしていた私だけれど。
基礎の音出しをする間にも、肺炎で入院、って大した事だったんだ、と思い知った。
音は、出る。
出るけど、多分、息が弱い。
爆発力に、欠けていた。
最初の音が、円やかすぎて。
とてもじゃないけど、ファンファーレなんか、吹けないような、まるい音。
これはこれで悪くはないけど、ちょっと私の音ではない気がした。
なんか、胸痛いな…。
哲の言うこときいて、今日はやめておけば良かったかな…。
そうすれば哲も、ゆっくりできたろうに。
心配かけて、わざわざ送らせちゃうなんてこと、なかったのになぁ。
私の思考は、素直に嬉しい、と認めない。
わかっているのに、認めようとしない。
や、わかってるんだよ?
哲も、真ちゃんも。
私をただ、大事にしてくれてること。

