団長が、言っていた。
“次は、彼氏がいると公言なさい”って。
あの時は“次”なんかないと思っていたし、もしあったら、そうしようと…思っていた。
私は、鉄パイプを拾い集めながら、首を横に振った。
「哲、駄目」
何も言わないで。
お願いだから、私が哲を好きなこと、好きになっちゃってること、言わないで。
「若社長よぉ、うちの嬢ちゃんはなあ…」
「シゲちゃん!…待って」
やだ。
駄目…なんだって、ば…。
やめて。
ちょっと、待って。
遮られたシゲちゃんの顔は、怖い。
憮然、というか、明らかに納得いかない、といった様子で、私を睨み付けた。
「狭山さん、ちょっといいですか」
私は。
ぼかさず、遠回しにもせず。
はっきりと直球を投げなきゃならない。
できる。
大丈夫。怖くない。

