ガシャァァンッ、と。
金属の、音。
細くて短い、鉄パイプの倒れた、音?
びくんっ、と体が跳ねた。
「あぁ…蜜、ごめん、ちょっと手伝って」
「…………あ、うん」
わざと、だよね?
哲、ちょっと乱暴だ…。
「品モン、上がってんぜ。今日は無茶言わないでくれよ?」
狭山工販の横をすり抜けた私。
彼がどんな動きをしたのか見なかったけれど、シゲちゃんの、苛ついたような声が、した。
私は真っ直ぐ哲のそばに駆け寄って。
1m前後に切られている、散乱したパイプを、拾い始めた。
「何言われた」
疑問系ですらない発音。
どう、しよう。
哲に言ったらきっと怒る。
皆に言ったらきっと、怒る。
怒って、きっと。
揉める。
「……大丈夫」
哲に嫌な思いさせる。
皆に嫌な思い、させる。
それから?
それから、狭山工販のこの人は。
哲に。
皆に。
なにを言う?
なにを、する?

