Sympathy For The Angel

その店は住宅街にぽつんと建っていて、それが実は結構ルカの家に近かったりする。

店の名前は《Limelight 》。


「へー。いいじゃん、ルカん家に近いし」

「そうだね。うちらはあんまりこういう店には来ないけど。たまには良いね」

「ですよね。今度は、皆でこういう店に行きたいです」

へらっと笑う真依の頭をもふもふした。


可愛すぎる……!



「ケーキは真依にお任せ。5個ぐらい選んでくれる?私ら、そこのイートインのコーナーにいるから」

「あ、はい」

真依にお金を渡して、私達もドリンクだけを注文した。

しばらくしてから真依が箱を抱えてテーブルにやって来たが、もう片方の手にはトレイを掲げている。

「うわ。なにそれ」

「パフェです!」

語尾にハートが付きそうな感じで、真依は目の前のベリーパフェに見入っている。

そのパフェには生の果実がふんだんに使われ、上掛けゼリーがライトに照らされてきらきらと光っていた。


「……なんか旨そうだよね。私も食べようかな……」

「うん。人が食べてるのを見ると、何でか自分も食べたくなるんだよねぇ……」


私が財布を持って立ち上がると、真依がえへらと笑って大きな苺を口に入れた。

甘いものを食べて禁煙でもしてみるかな……。


「すみません。ベリーパフェを一つと……これ下さい」

ショーケースから見えた一つを指でつついて注文を済ませた。



「………なにそれ」

「ベリーパフェと、丸ごとりんごのバウムクーヘン?」

「誰が食べるの?」

「……エリカが一人で」

「やだよ私!!そんな直径20センチもありそうなもん一人で食べれるわけないじゃん!私がベリーパフェ食べる」

「やだそれ私の」

「………あの。切って貰った方が良くないですか?バウムクーヘン……」

「だよねー」


力なく笑って席を立ち、店員さんに頼んででっかいバウムクーヘンを三等分にして切り分けて貰うと、ようやくの思いでそれを食べきった。


「考えて頼んでよね」

ちくしょ、エリカの奴。私にはパフェの苺をくれなかったくせに。