Sympathy For The Angel

「いやー。だってさ、結構真依って隙だらけだよね?なのに司が手を出してないって事はさ」

「手を出してないって事は?何?」


鼻の頭をぽりぽりと掻いて、エリカが呟いた。

「司って、どうて……」
「知らねぇよ、そんなもん!!」

……って思わず怒鳴ってしまったけど。

エリカ知ってるか?人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじゃうんだよ。


「椿さんとエリカさん、どうしたんですか?」


元気よく前を歩いていた真依が、不思議そうにこちらに戻ってきた。

「いやごめん。何でもない」


今度から司の顔を見るたびに、きっと私の頭の中でヘビロテするに違いない。

司がDT司が………。


くそっ、エリカのせいで!!




「ここですよー!」

縁石からぴょんと飛び下りた真依が、一軒の小洒落た店を指差した。