Sympathy For The Angel


タクシーを使い家に戻ると、またもや両親が揃ってリビングにいるらしい事を知る。




無視してそのまま二階の美優紀の部屋に行こうとして、母親に呼ばれた。


彼等を無視しようと階段に足を掛けたが、美優紀が私の服を引っ張った。



「椿さんがご両親の事、好きじゃないのは分かってるんですけど……。一応、手術の事をお世話して下さったから、ご挨拶だけでもしてきて良いでしょうか……?」


私に気を使いながらそう言う美優紀をみれば居たたまれなくなって、仕方なしにリビングへと戻る。



「体の調子はどうだ?」

挨拶もないまま、父が上から目線で美優紀に言う。

「遊佐先生と椿さんのお陰ですっかり良くなりました。今回はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

ぺこりと頭を下げる美優紀に、嘘臭い笑顔を張り付けた母親が近寄って来てその髪を鋤いた。

「不便な事があったら、いつでも私達を頼ってね?あなたの力になりたいの」


嘘もここまでくると喜劇以外の何物でもない。


空気が悪いこの部屋から逃げ出したい願望に駆られた。



「ねえ!今日は美優紀ちゃんの回復祝いに、お寿司屋さんに行かない?ほら、椿も昔よく行ったじゃない?あのお店、この前三ツ星に選ばれてたのよ!」

行かねーよ。

「たまには良いな。プライベートで家族で出掛けるのも久し振りだな」

だから嫌だっつってんじゃん!