俺はいつの間にか眠っていたらしく、閉館時間ぎりぎりに母親に見付かって起こされた。

あの人はもういなかった。

それでも脳に刻み込まれたあの人の記憶は、その後の俺に大きく影響する。

サッカー少年だった俺を柄にもなく図書館通いさせたのは、間違いなく彼女だ。