「放せ! 放せぇえええええ!」



次々と穴から出てくる霊たちが、女の子の霊を掴み、そして奥に奥にと引きづり込んで来る。



健太郎と綾は抱きしめあって事の成り行きを見守った。


早紀もただ、呆然として動かない。


「キサマらぁあああああ! 私に逆らうのか!」


鬼のような形相で叫ぶ女の子の身体が、扉のように開いた穴の中に引きづりこまれて行く。



「止めろ! 離せ! 離せぇええええええ!」


必死でもがいて逃れようとするが、圧倒的に引きづり込むほうの数のほうが多い。



「うぉおおおおおおおお! おのれぇえええええ」



最後に大きな声で叫ぶと、女の子の霊は、完全に穴の中に引きづり込まれて消えてしまった。



後には静寂だけが残り、綾と健太郎は顔を見合わせる。



早紀の目からは、いつの間にか涙がこぼれていた。