なだらかな上り坂が続く。


もう何十年も人が使わなくなった道だから、草木が生い茂っていて、ほとんど道という感じではなくなっていた。


それでもこれが本道であることは、地形的な感じで伝わってくる。



「それにしても何で急に幽霊が出たんじゃろう?」


松本が誰にともなく問いかけた。


「ずっと出なかったんですよね?」


その問いに、健太郎が質問で返す。



「去年も一昨年もここに通ったけど、まったく何も起こらんかったんじゃけどなぁ」


「そうですか……。何か思い当たることはありませんか?」


「いや、全く何も思い当たらんわ」



「あっ!」


松本が答えたとき、綾が口を開いた。



「どうした!?」
「何じゃ?」
「えっ、何?」


他の四人はまた幽霊が出たのかと思ってキョロキョロ周り見る。


しかし特にこれといって何もなかった。