船が小さな港に着いた。


港といっても、停船出来るのはせいぜい四~五隻といったところの小さな港である。


綾は何となく違和感を感じた。





「何か変じゃない。ここ?」


「そう?」


茶和子は別に何もといった感じで軽く返す。





「あっ、そうか……」


島なのに、今いる場所から見える範囲に、土の部分がないのだ。


正面のコンクリート製の建物のすぐ横の斜面もコンクリートだし……。


まるでコンクリートの要塞みたい。


まぁ、土砂崩れを防ぐ為なのかもしれないけど……。


実際に見えないというのはちょっと言い過ぎで、作られた庭園もあるし、コンクリートの隙間から雑草も伸びている。


でも……



自然豊かな島なんだから、わざわざこんなことしなくたっていいんじゃないの?


綾がそう思ったとき、隣で茶和子が「何かここ映画か何かのセットみたいだね」と笑った。