呪島~ノロイジマ~

村越の車は港に着いた。


と言っても、フェリーが泊まる港ではなく、漁師たちが漁船を係留させている港である。


「おお聖二、来たか」


咥えタバコの老人が顔をしわくちゃにして微笑む。



「すまんなぁオヤジ、ちょっと頼むわ」


村越は老人に頭を下げた。




「ほんなら先生、私はこっちっで待ってますから、向こうの島を出るときに電話してください」


村越はそう言いながら、有吉に名刺を手渡す。




「すみませんねぇ村越さん」


「いえいえ、気になさらずに」


「ほんならオヤジ、頼むな」


村越はもう一度老人に頭を下げた。



村越の父の操船する船が岸を離れ、目の前に見えている島を目指す。


船に乗り込んで五分もしないうちに、かなり向かいの島へと近づいた。




「意外と早いんだな」


健太郎が綾に向かって微笑む。


「すごいね。もう着いちゃったよ」


綾は笑顔で返した。