「ねぇママ、聞いて聞いて」


学校から帰って来るなり、娘の綾が早紀の許に駆け寄ってくる。


「どうしたの?」


「うちの学校、残ったの!」


「残った? 何に?」


早紀は分からなくて首をかしげた。



「何にって……彫刻展にだよ」


「ああ、それはおめでとう」


「何よ〜その取ってつけたような言い方」


「そんなことないわ、すごいと思ってるわよ」


「本当にぃ〜?」


「ええ、本当よ」


早紀は娘が可愛くて仕方ない。


娘は学校で美術部に所属していて、今丁度彫刻の技術と芸術性を競う大会に参加しているのだ。