その後……


結局精神に異常を来たした早紀を、由美は自宅に引き取った。


早紀は決まっていた女子大の進学も取り消し、精神科に通う日々を送る。


三年後、由美は誰も住まなくなった早紀の自宅を処分し、そのお金を早紀の治療と生活費にあてた。


二十二歳までの四年間、精神科に通った早紀は、その後なんとか就職をし、二十五歳のときに、そこで知り合った男性と結婚をして翌年子供を儲けた。


いつしか過去を忘れ、優しい夫と可愛い娘との幸せな生活を続けている早紀。


その娘も中学三年生となり、早紀も四十歳になった。


人々の記憶からも、あの忌まわしい事件は薄れ、今では心霊特集のテレビ番組で取り上げられるくらいである。


すべてが終わり、誰もが呪われた島の霊も成仏したと思っていた。


今の夜鳴島は、沖神港に鎮魂の碑が建ち。何と保養所はせとうち芸術館という施設になっていたのである。


もちろんアレ以来誰も幽霊など見た者はいなかった。