「遠藤さん何だって?」


敦也が不安な顔の美絵に聞いた。



「それが……また島に行くって」


「何で?」


「お母さんの遺体が見つかったんだけど、その遺体が喋ったんだって……東京には帰らせないって」


「嘘だろ……」


敦也の胸にも不安が広がる。



とはいえここは東京、自分にはどうすることも出来ない。



東京に戻ってからも、祐次たちの葬式に出席したり、何かと暗い気持ちが続いたから、

気分を変えようと初めて二人でデートするつもりだったのに、何だか急に気乗りしなくなってしまった。



遺体がしゃべった……。


それはつまり成仏していないということである。

美絵も同時にそれに気がついていた。



「ねぇ、大丈夫だよね?」


美絵のその問いが、早紀がということなのか、自分たちがということなのか、敦也には分からなかった。