「おーい、こっちこっち」


待ち合わせ場所に着いたところで、敦也に呼ばれて美絵は笑顔で駆け寄った。



「じゃあ行こうか」


「うん」


二人は歩き始める。


「そういえば……遠藤さんの退院って今日だよね」



「あ、うん。そうだ」


美絵は思い出したように言って携帯電話を取り出した。


呼び出し音が数回鳴った後、早紀が電話に出た。



「もしもし早紀?」


『うん』


「今日退院だよね」


『うん。退院はさっきしたよ』


「そっか」


『でもね……もう一度島に行くことにした』


「え? 何で?」


『お母さんの遺体が見つかって……』


早紀は美絵に先ほど起こった話をした。



「ダメだよ早紀、もう帰っておいでよ」



『そりゃあ私だって帰りたいけど、このままじゃ……』


「分かった。でも気をつけてね」


『うん』


美絵は不安な気持ちのまま電話を切った。