「幽霊の正体は今から三十年以上前にこの島に遊びに来ていて亡くなった由希子ちゃんという少女です」


「ユキコちゃんですか?」



「はい。そうです。この家の裏にある洞窟の中の海に落ちて亡くなった少女です。

そして今から我々は、その少女の供養にやってきた、こちらの源尚寺の住職とともにその洞窟に向かいます」



「江原さん大丈夫なんですか?」


「ええ、住職がいらっしゃいますから、大丈夫だと思います」


言いながら江原は洞窟に向かって歩き、カメラが江原の後ろ姿を追う。



「ここです。切り立った斜面にポッカリと穴が開いています。

ここは今朝まで警察によって立ち入り禁止になっていましたが、今は入れます」


江原は洞窟の前でカメラに向かって大袈裟にしゃべる。


洞窟には住職が先頭で、次いで照明スタッフが入る。


真っ暗な洞窟の中が明るくなった。


江原とカメラマン、もう一局のリポーターとカメラマンとディレクターもこれに続く。


最後に泰博と早紀が、美春とともに入った。



一番奥に進むと一同はそこで立ち止まり、住職が読経を始める。


さすがにこの時は、江原も黙ってことの成り行きを見守った。