保養所に戻った三人は、まず早紀の心配をした。


静かに眠っているが、それが頭部挫傷によるものかどうかの判断が出来ない。


「早紀……目を覚ましたらお母さんのこと何て言おう……」

美絵がポツリと呟く。



母親の悲しい過去を、果たして何も知らない娘に話すべきかどうか悩む。


「言わないほうがいい」


敦也が美絵の顔を見て言い、美絵もその目を見つめ返して頷いた。



「ただ……亡くなったって事実だけは教えてあげないとな」


「うん」


美絵は早紀の頬を撫でた。






「ちょっと、あれは!?」


美春が窓の外を指差して叫ぶ。




そこには船のものと思われる明かりが見えた。


それも一艘ではない。無数の光。

敦也は玄関から外へと飛び出した。