足元に地面がなかったのだ。


由希子はそのまま一段下に落ち、岩に頭をぶつけて気を失った。




いったいどれくらいの時が過ぎたのだろう……。


真っ暗闇の中で由希子は目を覚ました。



――冷たい。


服が濡れていた。波が来るたびに由希子の服が濡れる。


(早く上がらないと……)


ジャンプすれば届きそうな高さである。


由希子はその場で何度か飛んでみたが、後少しのところで届かなかった。

少し下がって勢いをつければ届きそうである。


由希子は後ろの足元を確認せずに下がった。


「あっ」


突然海の中にいた。


二段下は海だったのだ。