「ママ……パパもみなみも逝けないの」


辛そうな顔をする娘の霊。



「何で?」



「だってお姉ちゃんが逝かせてくれないから」



「お姉ちゃん? お姉ちゃんって誰なの?」


涙を拭いながら聞く彰子の問いに娘の霊は指を指す。



彰子は振り向くと同時に懐中電灯を向けた。










真っ青な顔の少女が立っていた。


頭の先からつま先まで全身びしょ濡れの少女。




「ずっとお姉ちゃんが逝かせてくれなかったの」



「誰……この子……?」


唖然として少女の霊を見つめる彰子に、少女の霊が泣きそうな顔をした。