通り過ぎた懐中電灯の明かりがもう一度戻る。






今度は誰もいない。



「い、今の……」

美絵は敦也に抱きついた。



彰子は周辺を照らすが人影はどこにもない。



「今のはいったい……」


美春の声も震えていた。



「あの幽霊じゃなかったよね?」


「ああ」


美絵の問いに敦也が答える。



「あの幽霊って?」


「さっき保養所に出た女の幽霊です」


今度は美春の問いに敦也が答えた。