「大変申し訳ないのですが、そろそろ失礼させていただかないと……

本来は病院まで来ていただかなければならないのですが、特別にここまでお連れして参っておりまして……

大変申し訳ありませんが、ここで下ろさせてください」


病院の職員は申し訳なさそうに言うと、車から降りて後ろに回り、

後部のドアを開けて父の遺体を敷き布団ごと強引に車から降ろしてしまった。



「ちょと待ちねぇーや」
「アンタそりゃなかろうがな」


「本当にすみません」


職員は申し訳なさそうに頭を下げながらも、聞く耳は持たないぞという意思が見てとれた。


「それでは私はこれで」


文句を言う美春と貴志を無視して、職員は頭を下げると早々に車に乗り込んで立ち去っていく。


港には貴志と美春と父の遺体が残された。