三人が建物に入るのを、茂行は一人で船の上から見ていた。



まったく大輔には困ったものである。


大昔からそうなのだが、大輔は親分肌で面倒見が良い反面。

茂行や貴志といった同級生を、子分のように使うのである。



決して人口の多くないこの島で、茂行の同級生は男が四人、女は二人しかいない。


茂行はいかつい顔の割りに小心だし、貴志は見るからに草食系で嫁の尻にしかれている。

竜太郎は行動力はあったけれど、腕っ節が強いタイプではないし、すでに死んでしまっていた。


学年が下の者も多く島に残っているのに、こと今日のようなことがあれば、必ずと言っていいほど、貴志と茂行が借り出されるのだった。