健介と祐次は同時に振り向いた。



ハッキリと聞こえたのだ。


声のしたほうに目を凝らす。



茂っている樹木の隙間から、山道の途中が見える。



「祐次ぃい~~~~~~」



姿が見えた。



「早紀ぃいいい~~~~」


声の主に向かって、祐次が大声で叫んだ。



祐次は廃屋の前から、山道へと向かう本道へと出る。


その姿を確認した早紀は、嬉しさの余り小走りで駆け出していた。