ぽつりぽつりと点在する廃屋が、なんとも薄気味悪い。


いつのまにか二人は無言になっていた。



道のすぐ脇に、外れた雨戸が転がっている。



その雨戸がついていた掃きだし窓から、部屋の中が見えた。



別に見なければいいのだけれど、なんとも言えない不気味さに、

見る気はないのについつい覗き見てしまう。



主のいない家に残された生活の跡……

引越しの際に残された荷物や家具が、輪をかけて薄気味悪い。


二人はつい足早になってその家の前を通り過ぎる。


そのため二人は気がつかなかった。


反対側の斜面にクッキリと残された、輝之が滑り落ちた跡に……。