それは遡ること6年前。 亜矢乃が5歳の時だ。 「お母さん、何かココかゆいの…」 亜矢乃は手の甲を掻きながら美和に見せた。 「んー?これなんだろうね?痒いの?」 「うん…」 「じゃぁ皮膚科に行ってみようか」 「なおる?」 「お薬ぬったら治るよ」 美和は困惑しながらも亜矢乃を安心させるため、優しい声で話し掛けた。